葬儀が終わった後、祭壇を飾っていた大量の花はどうなるのか、疑問に思う方も多いでしょう。日本の葬儀文化には、出棺の際に祭壇の花を抜き取り、参列者で棺の中に敷き詰める「別れ花」という美しい習慣があります。しかし、それでも余った花については、近親者や親しい参列者に「お裾分け」として持ち帰ってもらうのが1番の良策です。葬儀場側で小さな花束(ブーケ)にまとめてくれるサービスもあり、これを持ち帰って自宅の仏壇やリビングに飾ることで、葬儀の余韻を家族で共有し、供養を続けることができます。持ち帰る際のマナーとしては、まず遺族や葬儀スタッフの許可を得ることが前提です。勝手に祭壇から引き抜くのは厳禁です。また、持ち帰った花は、故人の分身として大切に扱いましょう。12月や1月などの冬場であれば、切り花でも2週間ほど保つことがありますが、夏場は毎日水を替え、茎の末端を少しずつ切る(水切り)ことで、少しでも長く咲かせてあげることが、故人への敬意の表れとなります。さらに、最近では「サステナブルな葬儀」への関心が高まっており、余った花をドライフラワーに加工してメモリアルボックスに入れたり、押し花にしてしおりや額装にしたりするサービスも人気です。これにより、一瞬で終わるはずの葬儀の花を、一生の記念品として残すことが可能になります。もし花を大量に持ち帰った場合は、近隣の友人や、葬儀に来られなかった方にお分けするのも良いでしょう。「お葬式の時のお花です、よろしければお供えしてください」という言葉とともに渡せば、故人の縁がさらに広がります。ただし、宗教によっては花を持ち帰ることを良しとしない(不浄と考える)場合も稀にあるため、地域の風習を事前に確認しておくのが安心です。花は、生を全うし、美しさを遺して枯れていきます。そのプロセスを最後まで見届けることも、グリーフケア(悲しみの癒やし)の重要な一環となります。15人、20人と、多くの人の手に花が渡り、それぞれの家庭で再び故人を偲ぶ光景は、死という別れを乗り越えた、生命の力強い連鎖そのものです。最後まで花を慈しむ心を持つことは、私たちが「命の尊さ」を学ぶための、最も身近なレッスンなのかもしれません。
葬儀で使用した花を無駄にしないためのアフターケアと持ち帰りマナー