ロングスカートを葬儀で着用する際、足元の印象を左右する「靴」選びには、膝丈の時とは異なる独自のルールとバランス感覚が求められます。ロング丈のスカートは、足元の露出が極めて少ないため、靴の形やヒールの高さが、全体のシルエットの重さを決定づけるからです。まず、もっとも推奨されるのは、3センチから5センチ程度の適度な高さがある黒のパンプスです。ロングスカートの裾からわずかにヒールが見えることで、足首が引き締まって見え、全身のバランスが上向きに整います。全くのフラットシューズを合わせてしまうと、ロング丈の面積に負けてしまい、全体がずんぐりとした、あるいは少しカジュアルすぎる印象になりかねません。しかし、24時間365日、いつ訪れるか分からない葬儀において、体調が優れなかったり、足腰に不安を抱えていたりする場合もあります。そのような時は、無理にヒールを履く必要はありません。最近では、ロングスカートに合わせても違和感のない、フォーマル用のフラットパンプスや、安定感のあるウェッジソール風の黒靴もマナーとして許容されつつあります。1番大切なのは、安全性と清潔感です。特に雨の日の葬儀や、雪の残る屋外での移動がある場合、ロングスカートの裾を気にしながら不安定なヒールで歩くのは非常に危険です。状況に応じて、移動中は歩きやすい靴を履き、会場の更衣室でパンプスに履き替えるという「二段構え」の準備をしておくと1番安心です。また、靴のデザインについても注意が必要です。ロングスカートは裾が揺れるため、靴の装飾が引っかかりやすいという側面があります。リボンや金具がついたものは避け、極力シンプルなプレーンパンプスを選びましょう。素材は、スカートと同様に光沢のない本革や合成皮革、布製(サテン以外)が基本です。また、ストッキングの色は、ロングスカートの裾からチラリと見える程度であっても、必ず黒を選んでください。肌色のストッキングをロングスカートに合わせるのは、一見目立たないようでいて、実は非常に不自然な印象を与えてしまいます。足元まで含めたトータルコーディネートが完成して初めて、ロングスカートの気品は完成します。1つひとつのステップを丁寧に行い、鏡の前で全身をチェックしましょう。ロング丈だからこそ、隠れている部分への配慮が、着る人の「誠実さ」として現れるのです。立ち居振る舞いのすべてが供養になるという意識を持って、最高の足元を整えてください。