葬儀・告別式のクライマックスであり、故人様の肉体との永遠の別れとなるのが、「出棺」から「火葬」、そして「骨上げ」に至る一連の流れです。別れ花を終え、故人様との最後の対面を済ませると、棺の蓋は静かに、そして固く閉じられます。この瞬間、もう二度と故人の顔を見ることはできません。喪主、遺族、親族の男性数名の手によって、棺は担ぎ上げられ、斎場の外で待つ霊柩車へと運ばれます。この時、位牌は喪主が、遺影は遺族の代表者が胸に抱き、棺を先導します。他の参列者は、屋外で整列し、その様子を静かに見守ります。霊柩車に棺が納められると、喪主が参列者に向かって、最後のお礼の挨拶を述べます。挨拶が終わると、霊柩車の扉が閉まり、クラクションの音を合図に、火葬場へとゆっくりと走り出します。参列者は、その姿が見えなくなるまで、合掌・黙礼をして見送ります。火葬場に同行するのは、原則としてご遺族・ご親族のみです。火葬場に到着すると、告別室(炉前ホール)で「納めの式」が執り行われます。僧侶による最後の読経の後、棺の小窓が開けられ、本当の最後の対面をし、焼香を行います。そして、全員の合掌の中、棺は火葬炉へと納められます。火葬には1時間半から2時間ほどかかります。その間、ご遺族は控室で待機し、軽食(精進落とし)をとりながら、故人の思い出を語り合います。火葬が終わると、係員から連絡があり、収骨室へと案内されます。そこで行われるのが、ご遺骨を骨壷に納める「骨上げ(拾骨)」の儀式です。二人一組で、竹製の箸を使い、足元の骨から順に、頭蓋骨へと向かって拾い上げていきます。最後に喉仏の骨を喪主が納め、骨壷の蓋が閉じられます。こうして、故人様はご遺骨という形になり、再び家族の元へと戻ってくるのです。この一連の流れは、死という現実を受け入れ、故人の新たな存在の形と向き合うための、極めて重要なプロセスです。
出棺から火葬、そして骨上げまでの流れ