四十九日法要を終え、故人様が仏様として新たな世界へ旅立った後も、残された家族による供養は続いていきます。故人の命日に合わせて、定期的に執り行われる追善供養の儀式、それが「年忌法要(ねんきほうよう)」です。これは、故人を偲び、その冥福を祈ると共に、私たちが今あるのは故人やご先祖様のおかげであると、改めて感謝するための大切な機会です。年忌法要の流れは、基本的には四十九日法要と同様です。まず、命日近くの都合の良い日に日程を決め、僧侶と会場を手配し、親族や親しい方々に案内状を送ります。法要当日は、僧侶による読経、参列者の焼香、法話といった儀式が執り行われ、その後、お斎(会食)の席を設けて、故人の思い出を語り合います。年忌法要は、定められた年に行われます。亡くなった翌年の同月同日に行うのが「一周忌(いっしゅうき)」。亡くなってから満二年目に行うのが「三回忌(さんかいき)」です。ここで注意が必要なのが、三回忌以降は「満〜年」ではなく、「〜回忌」という数え方になる点です。三回忌以降は、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌と続いていきます。一般的に、三十三回忌を最後の年忌法要とし、「弔い上げ(とむらいあげ)」とすることが多くあります。これは、三十三年という長い年月が経てば、どんな個人も、その魂は完全に清められ、ご先祖様の世界(祖霊)に一体化するという考え方に基づいています。弔い上げをもって、故人の個人としての供養は一区切りとなり、以降は、お盆やお彼岸などに、ご先祖様全体として供養していくことになります。もちろん、家庭によっては、五十回忌、百回忌と法要を続ける場合もあります。この、一周忌から弔い上げへと至る、気の遠くなるような長い時間の流れの中に、故人を忘れず、命の繋がりを敬い、感謝し続けるという、日本人の美しい死生観と家族観が、深く息づいているのです。