大切な方が息を引き取られたその瞬間から、ご遺族は深い悲しみに包まれると同時に、故人様を送り出すための、滞りなく進めなければならない一連の流れに直面します。この逝去直後からお通夜までの数日間は、精神的にも物理的にも最も慌ただしい期間であり、その手順を事前に理解しておくことは、心の準備の上で非常に重要です。まず、病院で亡くなられた場合、医師から「死亡診断書」が発行されます。これは、死亡届の提出や保険の手続きなど、あらゆる場面で必要となる最重要書類ですので、必ず受け取り、複数枚コピーを取っておきましょう。次に、葬儀社への連絡です。もし事前に決めている葬儀社があればそこに、なければ病院から紹介してもらうか、速やかに数社に連絡を取り、決定します。葬儀社が決まると、ご遺体の搬送と安置の手配が進められます。ご遺体は、病院の霊安室から、ご自宅か斎場の安置施設へと、「寝台車」でお連しします。ご自宅に安置する場合は、仏壇のある部屋や座敷などに布団を敷き、北枕(または西枕)になるように寝かせます。ご遺体を安置すると、葬儀社のスタッフが、枕元に小さな祭壇(枕飾り)を設え、線香や燭台、花などを供えてくれます。この後、菩提寺など付き合いのある宗教者がいる場合は、連絡を入れ、故人が亡くなったことを報告します。僧侶が駆けつけ、故人の枕元で最初のお経をあげる「枕経(まくらぎょう)」を執り行うこともあります。そして、葬儀社との本格的な打ち合わせが始まります。喪主を正式に決定し、葬儀の日程、場所、規模(一般葬か家族葬か)、形式、そして費用について、具体的な話し合いを進めていきます。火葬場の予約状況や宗教者の都合、親族の移動時間などを考慮しながら、通夜と葬儀・告別式の日程を確定させ、関係各所への訃報連絡を開始します。この目まぐるしい流れの一つ一つが、故人様とのお別れの形を創り上げていく、最初の、そして最も重要なステップなのです。
逝去から通夜まで、悲しみの中の最初の流れ