友人や会社の同僚、恩師など、お世話になった方の訃報に接し、葬儀や法要に参列する際、その儀式がどのような流れで進むのかを事前に知っておくことは、落ち着いて故人を偲び、ご遺族に失礼のないよう振る舞うための、大切な心得です。ここでは、一般参列者としての当日の流れを追ってみましょう。まず、会場に到着したら、入り口付近に設けられた「受付」へと向かいます。お通夜であれば、開始時刻の15〜30分前には到着するのが望ましいでしょう。受付では、「この度はご愁傷様でございます」とお悔やみの言葉を述べ、袱紗(ふくさ)から取り出した香典を、相手から見て正面になる向きで手渡します。その後、「芳名帳(ほうめいちょう)」に自分の名前と住所を、楷書で丁寧に記帳します。受付を済ませると、係員から式場内へと案内されます。一般参列者の席は、通常、祭壇に向かって左側ですので、前から順番に詰めて着席し、静かに開式を待ちます。儀式が始まると、僧侶による読経や、弔辞の奉読などが厳粛な雰囲気の中で進みます。そして、儀式の中心である「焼香」の順番がやってきます。通常、喪主、遺族、親族の後に、一般参列者の焼香となります。葬儀社のスタッフが列ごとに案内してくれますので、その指示に従いましょう。自分の順番が来たら、まず祭壇手前でご遺族に一礼し、それから焼香台へと進みます。宗派によって作法は異なりますが、心を込めて焼香を行い、祭壇に向かって合掌・礼拝します。焼香を終えたら、再びご遺族に一礼してから、自席に戻ります。告別式の場合は、焼香の後、「別れ花」の儀式で故人との最後の対面ができることもあります。そして、儀式が閉式となり、出棺を見送った後、火葬場へは同行せず、その場で解散となるのが一般的です。法要の場合も、受付から焼香までの流れはほぼ同じですが、その後、お斎(会食)の席に案内されることがあります。その際は、ご遺族の心遣いに感謝し、故人の思い出話を語らいながら、少しでも席にいることが供養となります。この一連の流れを理解し、落ち着いて行動することが、参列者としての最大の務めです。